774pt日記

私の半径5m その2

テレビにはあまりでないけど

うちの地域は3.11の震源地から100キロ程度の内陸地だ。あの日はそれでも震度6とか7とかがきて、たってられないほど揺れた。私は仕事中で患者さんをベッドから車いすへ移すためにちょうど立たせていたところだった。
揺れはゆっくり大きく続いて、座らろうとも立っていようともできずただその場で二人でお互いしがみついていた。そのままの姿勢で窓の外を見ると電線が倒れて道路に落っこちているのが見えた。普通じゃないと思った。

その後、停電とか、ガソリン不足とか、給水車とかときて、大きな夢を一つあきらめたところだ。いまの放射能フェーズはじっくり長く取り組んでいくしかない課題と位置づけている。ちなみに某中部大学のT教授が敬遠している地域だ。いわゆる福島以外のホットスポットである。あれから半年以上経過してここでやってく覚悟をしなくてはいけないなと考えている。

そんな僕の半径5mではいまテレビには出ないが問題が起きていると感じている。

新しい利用者さんの申し込みがあった。この地域の介護保険施設はいつものメンバーでまわすのが好きなようで、老健入所に数ヶ月とか数年かかる(アホか)。ところが夏休みくらいから状況が変わってきている。
実はあの震災で被災したのは津波被害地域だけではない。(これ以外と知られていない) 地域の重要な回復期施設が一つ被災して機能しなくなっている。もともと十分なリソースがある地域ではないのだがこれはでかい。幸いマンパワーに影響が少ないので箱の問題になるのだが、システムが追いついていないから人があぶれている。最悪だ。

発症から2、3ヶ月で回復期リハが終了してしまう。

このあいだの例では、

  1. 80代の脳卒中左片麻痺。発症からおよそ3ヶ月弱で自宅退院。寝たきり。家族の葬儀のため短期入所希望。
  2. 70代左片麻痺。歩行練習をいっぱいやってきて自宅退院。でも起立ができないので自宅でおむつとなり寝たきり。入所。
  3. 90代脳卒中。 重度の右麻痺失語症 コミュニケーションとれないから発症から2ヶ月で入所希望。

まだある。

3.11は津波と原発だけではない。

3.11は確かに沿岸部と放射能被害が大きい。でもそこから漏れた地域だって被害がある。それはこれからもっと表面にでてくる。ちなみに子供小学校の体育館は基礎からクシャッとつぶれて半年経過している。まだ使えないまま。立ち入り禁止である。
僕の半径5mでもその影響は徐々に現れてきたから状況は深刻だろう。ひっそりと被災した病院は再建の目途が立っていない。力のある施設は沿岸の被災地からも積極的に回復期患者を受け入れているようだ。僕も僕の立場でこのひっそりとした被災から復興しようと思う。